雑感:「奇跡のレッスン」ラグビー編を見て

先日、長く録画して寝かしていた「奇跡のレッスン」ラグビー編をようやく見ることができました。

(番組紹介HPはこちら

かつてのラグビー名門高校に、元日本代表監督で現イングランド代表監督である「あの」エディ·ジョーンズが来る、というとんでもなく羨ましい企画。非常に興味深く、参考になる内容でした。

特に印象に残ったのが次の2点です。

「声を出す」と「伝える」は違う

初日の練習で指摘したことは、「声は出ているが、意味が(含まれてい)ない」ということでした。試合で必要なのは、意味のあるコミュニケーションであって、叫ぶことではない。まるで金曜日の居酒屋だ、とも。

具体的には、隣の選手との情報交換。例えば、自分がマークする相手、仲間に引き継ぐタイミング、ケアしてほしいこと…等々を、細かくプレイ中にお互い話す。そうすることで、勇気がわく。そのことを「声のエナジー」と言っていました。

翌日からのディフェンス練習でも、コミュニケーションをとることを口が酸っぱくなるほど繰り返し繰り返し求めていました。

このシーンを見て思い出したのは、以前にコミュニケーションミスで勝ちを逃した試合のことでした。その時のミスは、ディフェンスラインの声が相手の名前を呼ぶだけで、任せろと言っているのか任せようとしているのか、その一番肝心なことが伝わらず、結果マークがずれて失点したというものでした。

ラグビーもサッカーも、状況判断が連続するスポーツです。特にディフェンスでは、人とボールを両方ケアする必要がありますが、人とボールの両方をケアするためには、周囲と連携した状況判断が必要で、コミュニケーションはそのための必須のツールです。

ではどうすれば、意味を伝えるコミュニケーションの重要さを理解してもらえるのか?
それが次の点です。

「黒チームの子は赤チームの子より劣っているのか?」

黒チームはいわゆる控えメンバー。対戦形式の練習で、黒チームは消極的で赤チームに押され気味でした。エディは何度も積極的なプレイを促しますが、なかなか変わりません。そこで、途中で黒チームと赤チームのメンバーを数人入れ替えました。

そこから黒チームが変わります。入れ替えた選手を中心に、互いの意思を伝え合うことができるようになり、何度も赤チームを上回るプレイを見せるようになりました。

やるべきことが分かれば、変わる。

黒チームに必要だったのは、コミュニケーションのための自信だったのでしょう。

「失敗するかも…」
「間違っているかも…」

そう思うとコミュニケーションをとる勇気がなくなります。

今回の黒チームは、一部の選手が引っ張ることで、そんなネガティブな考えを変えることができました。そしてそこから、会話と声掛けがどんどん増えていきました。

一つの成功体験をきっかけに、自らチャレンジを繰り返すことができるようになれば、それが本当に「分かる」ということだと思います。選手たちは、ここで本当にコミュニケーションの意義が分かったのではないでしょうか。

何がきっかけになるのかは分かりませんが、私たちも、そういう体験を一つでも多く選手たちに経験させてあげられるようになりたい、そんなことを思いました。

 

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